青の講評会
アトリエ新松戸カルチャー教室の油絵クラスでは、人物画の講評会を行いました。
モデルさんの服装がブルーだったことから、全体的に青を基調とした作品が並びました。
制作期間は約8週間。
さて今回の講評会では、ある生徒さんがこんなことを仰りました。
「若いモデルさんだったのに、(自身の絵では)はつらつとしてませんねぇ…」
とても良い着眼点です。
そこでピカソの青の時代を取り上げてみました。
皆さんもご存知のように、ピカソの作歴には作風が変わるごとに“◯◯の時代”と呼ばれる区分があります。
その中でも最初である「青の時代」、この青が意味するところは一般的には“寂しさ”の象徴であるといいます。
確かに人物に青色を用いる場合、はつらつとしたイメージにはなりません。
なぜ寂しさにつながるのでしょう?
“青”空の写真からは清々しさを感じるのに、青人間だと何故そう感じられないのか?
それは「人は青くない」からであると言えます。
絵画のテクニックの話になりますが、どんな色味でも人体を描くことはできます。今回のように、青いコスチュームの色味を人体にも影響させることは可能です。
ですが、実際に人間は赤味を帯びています。
青ざめる、という言葉があるように、青い状態というのはポジティブな印象にはなかなかならないのです。
ある程度絵画のテクニックを覚えていくと、青を基調としたときの他の色味とのバランスを上手く取ろうとするようになります。
しかし、“いつものように”色を置く前に、今一度「その色が持つ効果」や「モチーフそのもののイメージ」について考えてみるといいでしょう。
今回のモデルさんには、バラ色の時代風に仕上げても良かったかもしれませんね。
もちろん芸術に正解はありませんから、皆さん自身が抱くイメージを大切にしながら、次回も自由に描いてみて下さい。
それから「明暗の話」もしました。
下記の写真は「500の自画像(発行所:ファイドン株式会社)」よりレンブラントの自画像です。
人物の顔の明るい部分の隣(背景)には暗い色を、暗い部分の隣には明るい色を置くことで人物を際立たせています。
つまり背景にウソが加えられているのです。
ウソといえば聞こえが悪いですが、絵画上の演出としては常套手段です。
こうした演出を施すことで、一枚の作品が人々に与える影響も変わってきます。
様々な演出方法を学び、好みのものが見つかれば、取り入れていきましょう。
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